定期大会議案書の要点

議案書の読みどころ。以下は今年度大きく情勢の変わった点です。
2 高校改革プラン実施計画
(1) 魅力ある高校をめざして
長野県では、「(1)多様化する生徒の希望に応えることができる、魅力ある高等学校づくり (2)生徒数の減少や4通学区制の実施等に対応した高等学校の適正な規模および配置」について検討することを目的として、04年1月に高等学校改革プラン検討委員会が立ちあがり、05年3月に最終報告が出されました。この中で今後の高校総数を示すための基準は、1学年5から6学級規模として高校再編計画の総数が算定され、県内の公立学校数は76校が目安となることがうたわれています。
この最終報告書にもとづき、高校改革を推進するための審議機関として、05年には県内4ブロックごとに高等学校改革プラン推進委員会が設置され、より具体的な再編計画が議論されました。そしてその報告を受け、06年3月、県教委から実施計画が策定されました。その後、高等学校設置条例の改正に従い、県議会において9件の高校統合議案のうち、3件が同意、6件が不同意となり、飯田市下伊那地区が含まれる第3通学区では、岡谷東高校と岡谷南高校の統合(全日制・単位制普通科)、箕輪工業高校と上伊那農業高校定時制の統合(多部制・単位制普通科)、そして飯田工業高校と飯田長姫高校の統合(全日制工業科・商業科、定時制普通科)の3件が凍結されました。その後、数々の議論を経て、箕輪工業高校と上伊那農業高校定時制は、新たに箕輪進修高校として今春スタートしました。
飯田工業高校と飯田長姫高校の統合計画については、07年10月、南信州広域連合*2 が統合受け入れを合意し、県教委に対し、「ものづくりの拠点校」として位置付けるとともに、モデルケースとして施設整備等を充実させることを求めていく、としました。そして08年2月、南信州広域連合は、高校改革検討小委員会を発足させ、新たなものづくり拠点校としてのあり方や、モデルケースの意義、具体的な高校像などについて検討し、07年末に発足した県教委のプロジェクトチームに対して、地域独自の視点を示すことができるように議論を重ねています。
現在では統合に向けて、6月に県教委より示される「再編計画の骨子」を待つ状況にありますが、再編基準である「全校生徒が120人以下」か、「全校生徒が160人以下で卒業者の半数以上が当該高校へ入学している中学校がない」状態が2年連続する場合は、地域キャンパス化や他校との統合、募集停止検討の対象となる、ということについても注視していかなければなりません。
統合が実施された箕輪進修高校では、新校舎の完成や施設の整備が新学期には間に合わず、8月に延びてしまうといった問題も起きています。私たちは、高校進学に関して、地理的条件に恵まれないため選択幅が狭いという飯田下伊那地域のおかれている厳しい現状を自覚し、その解決方法について真剣に考えなければなりません。そのためには、地域の保護者や各種教育団体と十分に連携し、下伊那教育七団体を中核に、魅力ある高校づくりの推進を積極的に要望していく必要があります。はじめに財政ありきの高校改革では、誰のための改革であるのかわかりません。子どもたちがいきいきと高校での教育に打ち込めるための、真に魅力ある高校づくりを求めていく必要があります。

3 教員配当・予算
(1) 教員配当
04年度より始まった「こどもほっとサポート推進事業」は、昨年度9月で打ち切られ、かわりに「特別支援教育支援員」の制度が始まりました。飯田下伊那では36校に配置され、発達障害のある児童生徒や外国籍児童生徒の介助、支援を行っています。例えば、飯田東中では、設置できなかった「難聴学級」の代わりに特別支援教育支援員が配置され、難聴の生徒の支援にあたっています。また、06年度より、中学校1年生で不登校が急増するいわゆる「中1ギャップ」に早めに対応できるようにと、中学校への学習習慣形成支援として非常勤職員「中1サポーター」の配置が始まりました。飯田下伊那では5校に配置されています。
07年度の特別支援教育支援員の配置率は、08年2月の文部科学省調査によると、全国平均69パーセントに対し長野県は57パーセントと、大きく下回っている状況にあります。このことも踏まえながら、各校の実態に応じて、山間地校や特別支援学校・学級への加配、本来の学校業務に加えさまざまな心の悩みをもつ子どもに対応するための養護教諭の複数配置、スクールカウンセラーのより多くの配置、小学校における専科教員の加配と生徒指導教員の配置、中学校における生徒指導教員の配置や非免許解消のための複数校配置の改善、外国籍生徒への指導者配置など、現場の実状に合った教員の配置・配当にむけて、県に現場の声を届けながら粘り強い運動をすすめていく必要があります。
「信州こまやか教育プラン」については、07年11月、08年度から市町村教育委員会の裁量を広げる方向で見直しがなされ、名称も「活用方法選択型教員配置事業」となり、各学校の実情に応じて柔軟に対応することが可能になりました。しかし、予算的には約3億円の削減、国語の少人数学習は廃止となるなど、制度自体は縮小傾向であると言えます。この新制度が、各校の現場の実態に見合った内容となるかどうか、注視していく必要があります。
また、05年度小学校4年生まで拡大された30人規模学級編制を、全ての学年・学級へ拡大していくとりくみがあります。財政状況の厳しい折ですが、小学校だけでなく中学3年生まで全ての学年において県の責任で30人規模学級が拡大できるように、下伊那教育七団体や県教組とともに運動を展開していくことが必要です。また、それに伴う教室不足など施設面での充実についても、とりくんでいく必要があります。
このほか、飯田下伊那地区では、07年度には市町村費により30校に図書館職員が配当されています。しかし現状では、31校では学級担任が、9小学校では専科教員が司書を兼ねています。本年度も学校図書館の充実をはかるため、より多くの学校に図書館職員が配当されるようにとりくむ必要があります。また、97年の学校図書館法の改正により、専任司書教諭制度に道が開かれました。03年度より、司書教諭の完全配置が行われています。学校図書館の果たすべき役割はますます重要になってきており、学校図書館を支える職員とその活用を推進する専任司書教諭の協力が必要になってきています。司書教諭完全配置で、現在学校図書館を支えている職員が削減されないように注意深く見守っていく必要があります。
小中学校に通う児童・生徒たちの多様化にともない教育現場は複雑化しており、教職員の負担も増加しています。これら個々のケースに適切に対応することができる教職員の配置を、県教委・地教委に積極的に求めていく活動が必要となってきています。