定期大会議案書の要点

(9) 介護休暇・介護欠勤制度
少子化、高齢化がすすみ、肉親の介護は誰もが直面する切実な問題です。そうした私たちの不安を少しでも和らげ、仕事と介護の両立を支援しようという「介護休暇法」が99年4月に施行されました。長野県では、介護休暇だけで6ヶ月、介護欠勤とあわせて9ヶ月とれることになり、大きく前進しました。また、介護休暇の時間取得は始業時または終業時に続く4時間以内での取得でしたが、さらに勤務時間の中途での取得が可能になりました。始業・終業にこだわらずに必要な時間帯に、1日4時間以内の介護休暇の時間取得ができます。さらに介護休暇の対象者が同居を条件に配偶者の祖父母兄弟姉妹にまで拡大されました。みなさんのご協力により、多くの声を県に届けた結果、介護の対象者が拡大され、さらに勤務の途中で取得できるようになっています。一歩一歩改善されてきているので、介護する方にとって取得しやすい制度となるよう今後も粘り強い運動を続けていきます。
07年度、介護についてのアンケートを実施した結果では、5月の段階で介護を必要とする家族のいる教職員は、42名(男性18名、女性24名)でした。男性、女性とも介護を必要とする家族を抱えている方がおり、その数は明らかに増加しており、今後その傾向がさらに深まると考えられます。
アンケートによると、実際に介護休暇・欠勤を行使している人は、1名でした。介護休暇を取っている先生からは「親の看護ができてありがたい」「母と毎日いられるので、娘の私に心を開いてくれている。」という声が聞かれました。行使しない理由としては、「他に介護する人がいる」が主な理由でしたが、「手続きがわかりにくい」「介護は期限が決まっているものではないので、実際にはとりにくい」「実際には仕事が回らない、職場に迷惑をかけてしまうのでとりにくい」などの声が寄せられています。支部の定期大会のアンケートや発言からも、「代替者がいなくて不安」や「職場が忙しすぎて介護休暇が取りづらい」などの意見が出されました。そんな職場の皆さんの声を受けて、県教委との交渉で「代替者の確保」を訴えてきました。
また、昨年度は、介護についてのアンケートをもとに、介護・母性保障等専門委員6名で、「介護のしおり」を新たに作成し、介護に関わる権利や情報を提供させていだきました。しおりには、「キャラクター(快悟くんとQ子さん)」を登場させ、わかりやすい言葉で表現し、できるだけ皆さんに身近に感じていただける冊子になるように工夫をしました。「介護のしおり」は、職場に1冊配布されていますので、ぜひ職場での学習に活用していただき、介護に対する知識と理解を高め、介護休暇を行使しやすい職場作りをしていくことが大切です。
11月の飯伊共育フォーラムでは、「どうする!?介護~大切な家族を介護するために知っておきたいことがある~」という分科会を設け、長野県教組女性部長蟹沢恵子先生を講師として迎え、介護をするとなったときに直面する問題や介護の現状について学習しました。参加したみなさんからは、「介護にあたって今ある権利の内容だけでなく、今の自分だったら『時差出勤制度』を使わせてもらえるのではないかということがわかった」「自分だけでなく、多くの先生方にもこういう制度があることを知ってもらえれば」との声をいただきました。職場の多くの人がこの制度を知り、支え合う雰囲気を作ることも大切です。

(3) 3才未満児・長時間保育・学童保育
  07年6月に、中学生以下の子どもをもつ教職員を対象とし、保育問題アンケートを実施しました。 育児休暇の延長により、未満児保育を利用する教職員は少なくなっていますが、回答者の約4分の1は長時間保育を、また5分の1は児童館・学童保育を利用しており、子育てをする教職員にとって、保育・学童保育の問題は身近なものであると言えます。
 アンケートの結果、「近くの保育園でも長時間保育・未満児保育をしてほしい」「育休中に第2子ができた場合、上の子は保育園と幼稚園を転々としなければならない。近くに幼稚園もない。改善してほしい」「保育料の見直しをしてほしい」「保育園の職員(特に正規)、児童館の指導員増員をしてほしい」「児童館の定員や数を増やしてほしい」「学童保育の時間を延長してほしい」といった要望が多いことが分かりました。
 06年度、保護者が産育休に入った場合、保護者が育児可能であるという制度上の理由で、それまで通園していた上の子が、保育園を退園せざるを得なくなるという問題がありました。慣れ親しんだ友だち、先生や施設と別れ、転園することは、集団生活に慣れていく時期にあたる幼児にとっては、大変心配される事態です。また、市立保育園の民営化、統合に伴う規模拡大によって長時間保育や未満児保育が可能となることは、保護者の願いがかなう反面、通園にかかる時間が増大するなど新たな問題も指摘されています。
今年1月、飯田市子育て支援課との懇談会において「育休中にある職員の、長子転園勧告問題」「市立保育園の民営化」等について、質問をしました。「転園勧告問題」について、飯田市では、「保育に欠ける期間を、国の規準(産前3ヶ月産後3ヶ月)に対して飯田市では産後1年までと、大きく踏み込んで運用していること」「入所待ちの保護者からの『教職員・公務員は、育休3年まで認められていて家庭でお子さんをみることができるのに、自分たちは働きたくても子どもを預ける保育所がない。』という意見、不公平感からの苦情があること」「市の財政的な苦しさ」等により、飯田市の苦しい状況も理解していただき、「保育所入所については、先を見通して選択して頂いたり計画して頂いたりしてご協力いただきたい」とのことでした。ただ、現在の0歳児は1,000人の大台を割り込むようになり、いずれ保育園にも大幅な空きが出ることが予想されるそうです。情勢をつかみ、今後の動向を見守る必要がありそうです。
 「保育料の見直しを」という要望が出ていますが、19年度、飯田市では約1億円の投入をし、保育料については約3割という大幅な値下げをしました。このことで、今までに比べ保育園に預けやすくなったと言えそうです。「長時間保育・未満児保育」については、「財政的な問題で、小さい保育園では難しい。千代保育園のように、民営化(民営化すると国から補助が出される)によりかかる経費は増やさなくてもサービスは充実できるようにと考えている。」とのことでした。
 「民営化」については、「飯田市も、財政難と保護者のニーズとの板ばさみのなかで、民営化を目指していかなければならず、保育所入所者数の変動もみながら市民の理解と協力を得、いろいろ研究模索をしてすすめていきたい」とのことです。現在、施設が古く過密状態の松尾保育園について建て替えを考えており、公立だと予算的に厳しいため民営化の方向を考えているとのことでした。今後、民営化や統合がどのようにすすんでいくのかを注意深く見守るなかで、問題点を明らかにして、保育問題が悪化しないように努力する必要があります。
  保育問題対策委員会では、昨年も「子育ての集い」を開催しました。3年間育休をとって復帰された先生に、育休中の過ごし方や、復帰後の生活について具体的にお話をいただき、参加者から「復帰にむけての心構えを作るのに参考になった」と大好評でした。また、グループに分かれての意見交換では、「同じ教職の皆さんと話せて嬉しかった」「制度について教えていただいてよかった」「復帰に向けて励みになった」との感想をいただき、育休中の不安や悩みなどをお互いに話し合い、気分をリフレッシュする良い機会となりました。
保育問題対策委員会では、昨年度も保育園・保育所一覧表と放課後児童クラブの一覧表を作成し、下伊那支部ホームページに掲載するとともに、下伊那支部女性部情報誌「てだのふぁ」に載せて各職場へ配布しました。本年度も「介護・保育問題対策委員会」や単組を中心に、保育園の民営化や統廃合、児童クラブの開設状況などについての情報収集を続けながら、保育・学童保育を充実していくためのとりくみや、安心してはたらき続けることができる環境づくりをめざして、必要な要望を出していきたいと考えています。