5月18日、県教組春闘要求回答交渉が県庁西庁舎1Fで行われ、下伊那支部からは、黒澤執行委員長、熊谷書記長が参加しました。黒澤委員長は、「今年度行われるへき地級地指定見直しにあたっては、地域の実情にあった指定をしてほしいということと、減点規定を適用しないで欲しい。」ということを強く訴えました。具体的には、「5月7日に各へき地学校から提出していただいた実態調査を、山間地問題対策委員会で分析した結果、3月に示された新基準に当てはめて考えると、下伊那で6校が級地ダウンとなる怖れがあること。また、減点項目を適用すると、更に4校が級地ダウンの怖れがあること。その中には、2級ダウンしてしまう学校があったり、規定外となってしまう学校もあること。」です。さらに、「この状況は下伊那だけでなく長野県全体のへき地学校も同様に級地ダウンの怖れがある。」と付け加えました。指定にあたっては、基準はあくまでも基準であって、最も大切にして欲しいことは、地域の実情にあった指定が行われることです。
それに対して県当局は、荒深義務教育課長から「へき地教育振興については教育の機会均等の趣旨に基づいて、小中学校の教育にに支障をきたさないようにという認識は持っている。その指定にあたっては、実情を正確に把握して、適正を期していきたい。へき地手当については適切な措置をとる必要がある。」と回答がありました。さらに、現地調査を行うことへき地に関する交渉をもつことは、再度確認がなされました。
発言の内容 下伊那支部執行委員長の黒澤隆です。本日は、へき地級地指定に関わって発言させていただきます。手当の改善を訴える場ですが、へき地級地については、「へき地児童生徒援助費等補助金」や「安心・安全な学校交付金」のこともありますので、へき地校の教育条件整備にも大きく関わっていることをご確認ください。
昨年度3月に文科省よりへき地教育振興法の一部を改正する省令が出され、へき地級地の指定基準が改定されました。新しい指定基準では、そのまま当てはめると現在の級地がダウンされる可能性が多くのへき地学校で出てきています。下伊那支部では、新しい指定基準を現在のへき地校に当てはめて試算したところ、次のように6校で級地がダウンしてしまう可能性が出てきました。長年の悲願である天龍小学校・中学校は、特別地からも外れ指定外になってしまう恐れがあります。そうなってしまわないために、次のことを考えてみてください。
まず、今までの基準にあった「学用品購入地までの距離」と「食料品購入地又は日用品購入地までの距離」の付加点が廃止され、基準点の中に、スーパーマーケットまでの距離が新設されたことです。一概にスパーマーケットと行っても様々な形態があり、文科省の逐条解説では「日常生活のために必要な生鮮食料品その他衣食住などに関する各種商品」が一通りそろうものを想定しています。先の調査では、近隣のいわゆるスーパーでは、衣食住の衣に関しては洋服や履き物の種類が少ないこと、食については新鮮な商品がそろわないことなどから、実際は遠方の大型店まで買い物に行くことが多い実態がわかってきました。そのような実態があるにもかかわらず、品数の少ない近隣のいわゆるスーパーを当てはめてしまうことは、生活実態に合わないことになります。
また、医療機関については、診療所、病院、旧総合病院までの距離で算出が行われますが、たとえば診療所を考えると、医師が常駐していないため、休日・夜間にとどまらず普通日でも休診している診療所がいくつかあります。また、下伊那の南部地区では病院というと県立阿南病院が想定されますが、内科と小児科以外は医師が常勤していないため休診日があります。また、距離の算出には公共交通機関を利用することを想定していますが、実際には運行回数が少ないため、多くの場合、自家用車を使っています。今回の調査では、自分や家族が病気やけがで、急いで病院に行かなくてはならないときに、体調が悪い中、山間部のカーブやアップダウンが多い道を運転することがいかに苦しいことか切実な声が寄せられました。このように、医療について、へき地の実態は大変切実な問題を抱えているといえます。
さらに、今回新たに都市近郊40km以内では、地域の実情に応じて30点の範囲で減点ができるという規定が加わりました。この規定を距離に応じて適応してみると、さらに次のように4校、計10校が級地ダウンする可能性が出てきました。そしてそのうち5校では2段階の級地ダウンであり、6校は特別な地域にもならない指定外になってしまうことが予想されます。下伊那だけでも10校ありますから、全県的にはもっと大きな数になることが予想されます。仮にこのようなことが現実に起こったら、へき地教育振興法の主旨であるへき地学校の教育の機会均等が保たれないことになるのではないでしょうか。
へき地については、交通条件や文化的諸条件等について一定の改善が進んでいる部分もありますが、それ以上に、都市部地域の社会的・文化的・経済的諸条件は向上しており、いわゆる相対的へき地性は一層拡大しているという現実があります。言い換えれば、現行のへき地指定は維持・改善されることはあっても、級地ダウンになることはあってはならないことだと考えられます。
今回の回答では、「級地指定見直しは適正におこなう。」とありますが、適正に行われるために、ぜひとも、県教育委員会におかれましては、今後行う点数算出のための地域の実態調査において、現地視察を行ったり地域の実情を詳細に調査したりし、生活実態が十分反映されたものになることをお約束いただきたいと思います。また、都市近郊の減点規定については、現在のへき地性を考えると、級地ダウンにならないような扱い、できれば、この減点規定は取り入れない方向で点数算出を行っていただきたいことをお願いして、発言を終わります。ありがとうございました。