へき地教育振興法施行規則の一部を改正する省令案について

 19日の下伊那支部のホームページで連絡したへき地級地指定基準の改正案ですが、表記のような形で20日に文部科学省のホームページにアップされました。下記URLをコピーしてアドレス欄に貼り付けたうえで「へき地教育振興法施行規則の改正案」の部分をクリックしてください。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000364&OBJCD=100185&GROUP=
主な内容と問題点
(1)陸地用基準点数表の見直し
 学校から各要素(診療所、郵便局、市町村教育委員会など)までの距離に応じた点数を見直す。
①駅又は停留所までの距離に応じた点数が、全ての距離区分で半減となりました。該当する学校の影響はかなり大きいものがあります。
②総合病院までの距離に応じた点数、高等学校までの距離に応じた点数、市の中心地までの距離に応じた点数、県庁所在地又はこれに準ずる都市の中心地までの距離に応じた点数については交通機関のない部分が減点されています。交通機関のある部分については変更なしです。
③診療所までの距離に応じた点数については、交通機関のある部分も、ない部分も点数が増えています。下伊那にとっては点数増加の要素になります(但し上げ幅は小幅)。
④郵便局までの距離に応じた点数については、交通機関のある部分も、ない部分も点数が減点されています。しかしながら8km以上からなので影響は少ないと考えられます。
⑤市町村教育委員会までの距離に応じた点数についても、交通機関のある部分も、ない部分も点数が減点されています。交通機関のある部分の減点幅は小さいですが(8km以上およそ4分の3扱い)、飯田市周辺部の学校に影響がありそうです。

(2)基準点数の算定要素の追加等について
ア 基準点数の算定の要素として、現行の基準で考慮している医療機関(「診療所」「旧総合病院」)に「病院(旧総合病院を除く。)」を加え、また、「金融機関」「スーパーマーケット(日常生活に必要な生鮮食料品を含む衣食住に関する各種商品(主要耐久消費財を除く。)を販売する店舗)」を新たに加える。

病院とは以下のように考えられます。
病院の定義
病院は、医師や歯科医師が疾病や疾患を持つ患者に医療を提供する施設のことをいいますが、医療法の定義では、「患者20人以上の入院施設を有するもの」とされています。つまり、ベッドの数(病床数)が20以上の入院施設を持っているものを病院と呼び、ベッドの数が19以下のものを診療所(医院)として区別しています。

金融機関については以下のように考えられます。
当該学校から最短の距離にある預金の受入れや送金、融資、公共料金の振替等を行う金融機関(郵便局を除く。)で「銀行」、「信用金庫」、「商工組合中央金庫」、「信用協同組合(信用組合)」、「労働金庫」、「農業協同組合」、「漁業協同組合(水産業協同組合)」、「農林中央金庫」を指します。(へき地学校現状調査より)

スーパーマーケットについては以下のように考えられます。
当該学校から最短の距離にある日常生活に通常必要な生鮮食品を含む衣食住に関する各種商品(耐久消費財を除きます。)を販売する商店(コンビニエンスストアを含む。)を指します。(へき地学校現状調査より)
後述しますが、付加点から食料品の購入地又は日用品の購入地に係わる加点が廃止されました。今まで各学校が考えていた店と今回該当するスーパーマーケットとの関係を分析する必要があります。また、コンビニエンスが入ってくることによる減点や、距離による点数分析などを行う必要があります。今までは10キロメートル以上の場合は10点、5キロメートル以上10キロメートル未満である場合は5点(ただし交通機関を利用しうる部分の距離については、当該距離に2分の1を乗じて得た距離)が加点されていました。

イ.市町村合併を考慮し、「市町村教育委員会」に学校教育に関する事務を所掌する組織が置かれている支所、出張所その他これに類するものを含める。
これについてはほとんど影響がないと考えられますが、飯田市教育委員会などと連絡を取り合っていく必要がありそうです。

ウ.「郵便局」に、いわゆる簡易郵便局を含める。
(基準点数の算定の要素に「金融機関」を加えたことによる整理。)
このことについてもほとんど影響はないと考えられます。

(3)付加点数等について
ア.学校において、ブロードバンドサービスや携帯電話について利用ができない場合に加点する。(各5点)
下伊那の学校では加点要素になりえないと思われます。

イ.学用品等の購入地、食料品の購入地又は日用品の購入地に係る加点を廃止する。
(基準点数の算定の要素に「スーパーマーケット」を加えたことによる整理。)
この部分には大きな問題があると考えます。食料品の購入地又は日用品の購入地についてはスーパーマーケットが加わったことにより、一応の代償措置がされていますが、学用品等の購入地についてはそういった措置がありません。下伊那の教職員が最も不便を感じる事柄でもあり、今までの調査でもほとんどの学校で5点もしくは10点の加点があり、影響は大きいと思われます。

ウ.当該学校が都市近郊にある場合(当該学校から40㎞未満に人口3万人以上の市町村の市役所又は町村役場がある場合)に、都道府県の教育委員会または人事委員会が定める
点数を減点することができる規定を設ける。(30点の範囲内)
この部分についても大きな問題があります。どういう基準で減点されるのかもよくわかりません。下伊那もほとんどの学校が該当しますが、現地視察等によって下伊那地区の学校では減点の必要は全くないことを県当局に訴える必要があります。それも今までの経過が分かっている教育委員会にすべきで、人事委員会では困難が予想されます。

これからのとりくみについて
 山間地問題対策委員会の中心に、今回の省令案によって下伊那のへき地学校にどのような影響があるのかについて、早急に分析を行いたいと思います。そのうえで支部としてどんな内容のパブリックコメントを寄せていくのかについて検討します。
 パブリックコメント募集は2月18日までの予定です。2月6日に行う単組長会で具体的なとりくみをお願いすることになると思いますので、よろしくお願いします。