県教組春闘要求回答交渉が行われました

no11.jpg
 20年度県教組春闘要求回答交渉が19日の13:30から長野県庁で行われました。参加者は県教委から教育次長、義務教育課長、教学指導課長他、県教組からは執行部一同と各支部の委員長・書記長が参加しました。この交渉は過去の確認と昨年度確定結果にもとづく現場改善のための施策及びその実績の確認、今年度のスタートに当たっての要求に対する回答獲得を主な目的として行われます。
 下伊那支部からは委員長が上村のスクールバスの拡大写真を示しながら、以下のように発言してへき地級地見直しにあたっての県教委の姿勢を質問しました。
 「文部科学省は今年の3月~4月にかけて、1割抽出による各県の実態調査を行い、へき地級地を指定する基準を見直そうとしています。そして今年度中には、新しい基準を受けて県教委によるへき地級地指定の見直し作業が行われる予定です。
 前回の見直しからの7年間、交通条件や文化的諸条件等について一定の改善が進んでいる部分もありますが、それ以上に、都市部地域の社会的・文化的・経済的諸条件は向上しており、いわゆる相対的へき地性は一層拡大しているという現実があります。
 例えば、下伊那地域唯一の総合病院は飯田市立病院ですが、ここ数年の医師不足の影響が大きく、総合病院の条件である産婦人科や眼科などが現在診療制限を行っており、総合病院としての機能が危うくなっている現状があります。
 また、公共交通機関としてはJR飯田線と信南交通のバス路線がありますが、JR飯田線は1時間に1本程度と列車の本数も少なくダイヤも不便なので、住民に利用される機会は少ないのが実情です。また信南交通のバス路線も同様で、信南交通では飯田下伊那地方で直営運行している一般路線バス全12路線28系統について、2010年3月をめどに直営方式から撤退する方針を既に明らかにしています。
 指定基準には含まれていませんが、少子高齢化の問題も深刻です。4月1日の現在の県情報統計課のまとめによると天龍村52.1%、大鹿村が50.5%と「限界自治体」となっており、その他にも売木村(45.4%)、根羽村(44.4%)、阿南町(40.0%)と言う実態です。人口減による更なる厳しい財政状況はへき地教育を一層後退させることが懸念されます。
 もし、この度の級地基準見直しで現行の級地が引き下げられるならば、国等からの補助金の有無も含め、今でさえ様々な困難性を持つへき地の教育が一層困難になることが考えられ、へき地教育振興法における教育の機会均等の趣旨に反することになります。
 実際に、へき地児童生徒援助費等補助金ですが、H20年度文部科学省では、7億8000万円の予算配当がされております。その補助金を使って、H16年度、旧上村では、この写真のようなスクールバスを購入しております。児童生徒の大切な足として役割を果たしております。指定が外されたら、この補助金も受けられなくなってしまうおそれがあります。
 「へき地」校等への勤務は、冬期・雨期はもとより、危険な道路の状況、食料品をはじめとした日用品、教材購入の不都合、金融機関の不便さに加え、帰省の不便さ、家族を伴った異動の難しさ等があり、生活上の困難、経済的・精神的負担も少なくありません。現実にへき地校における人事異動に関しては厳しい現実が聞こえてきます。
 一昨年の10月、わたしたちの強い反対を押し切って、全国に類を見ないへき地手当の支給率の大幅削減が実施され、へき地校に勤務する教職員の生活が脅かされている実態は改めて言うまでもありません。
 「百聞は一見にしかず」という例えもあります。前回02年の見直し時にも県教委による下伊那地区の現地視察が行われました。そして阿南地区で懇談会を開いていただき、現地で直接現場の教職員の声を聞いて、実態把握に努めていただいた経緯があります。今回のへき地級地の指定見直しにあたっても、昨年度の県教組独自交渉の口頭メモ確認にある「へき地級地の指定見直しにあたっては、へき地勤務者の勤務状況・生活実態を踏まえ、現地の把握に努める。」の具体として、是非とも、前回のように県教委の方に下伊那に来ていただき、現状把握に努めていただくことをお約束いただきたいと思います。」
 また県教組の賃対部長からも3月~4月にかけて文科省より下ろされた抽出による「へき地級地実態調査」の結果についての質問や、へき地級地指定に絞っての県教委交渉設定の要請、生活実態を反映した級地指定を行ってほしい旨の県教委から文科省への意見反映の要請などを行いました。
 これに対して、義務教育課長から「へき地級地見直しについては、実態にそった見直しをしていきたい」「前回交渉が持たれたことは承知している。状況に応じて考えてきたい」という回答がありました。
 交渉は細かいステップの積み重ねが必要になります。今回の回答を一歩前進と受け止めて、さらに7月の県教組独自要求提出交渉、9月の県教組独自要求回答交渉、同じく9月の下伊那教育七団体県教委陳情など、あらゆる機会に県教委に対して、直接下伊那の現状の訴え続けていきたいと考えています。へき地学校の現場の実態、教職員の生の声などが大切です。支部書記局にお寄せいただければと思います。