【2012年度執行委員会だより(6)】戦争と平和について考える

 7月は平和教育を進める月間でした。「できれば夏休みに入る前に、何か休み中の自主学習への動機づけになるようなことができたら・・・」と思いながらも、学期末の気ぜわしい日々の中で、なかなか戦争や平和について知る・考えるきっかけづくりは難しかったかも知れません。

 しかし夏休み明けは、まだ8月中。日本人にとっては伝統的に「死者」と対話する機会であるお盆が終わったばかりでもあります。また、8月15日の終戦の日前後には、テレビで先の戦争に関わる特別番組が編成され、その番組を視聴した生徒も数多くいるはずです。そんな時を捉えて、改めて戦争の事実に学び、いのちの尊さに思いをいたす機会を、授業の中で、あるいは学年・学級通信の中でつくってみてはいかがでしょうか。

1 平和行進行なわれる(6月30日)

 さる6月30日(日)、平和行進が行われました。13:15に飯田市役所を出発した皆さんは、上郷支所、元善光寺駅、市田駅、JA豊丘河野支所、万年橋を経て松川グリーンパーラーで下伊那地域の平和行進を締めくくる集会を行い、上伊那地区の行進へバトンタッチしました。

 『新聞 長野縣教組』(1867号)によると、平和行進は7月6日(金)には群馬県へ、7月11日(水)には山梨県へとバトンタッチされたそうです。今、毎週金曜日になると、国会周辺では脱・反原発を訴える人々による、ゆるやかなまとまりをもったデモや集会が継続的に行なわれているようです。そういった場でこだまする声を「音」と表現する感性の是非はさておき、新しい訴えかけのあり方がこの国に生まれつつあることに、同時代人のひとりとしてある種の感動を覚えます。しかし問題は、この新しい訴えかけのあり方が、「本物は続く、続けると本物になる」(東井義雄)の言葉に照らした時、真に続くものたり得るのかどうか、ということだと思います。そのことを占う上で、私たち市井に生きるひとり一人が、そういった新たな動きに対して、少なくとも関心のもち続けることができるのかどうかが、問われているように思います。

2 戦争と平和について知るために 

―「NHK戦争証言アーカイブス」利用のすすめ―

 今年もまた、戦争と平和について深く考え、いのちの尊さに思いをいたすべき季節がめぐってきました。

 子どもたちに第二次世界大戦の悲惨さと、そこから得られる教訓を伝えていくことの前に、すでに戦争を知らない世代だけとなった私たち教職員自身が、みずから求めて、第二次世界大戦の事実を、まず知る努力が求められると思います。そのうえで、大変有益な情報を提供してくれるホームページがあります(すでに『県教組情報』で紹介済みです)。

NHK戦争証言アーカイブス http://www.nhk.or.jp/shogenarchives/

 NHKが所蔵する、第二次世界大戦期の貴重な音源・映像や、NHKが全国に呼びかけて集めた戦争に関する体験者の証言、これらの資料を生かしてNHKが制作・放送した過去の番組などが大量に提供されており、簡単に視聴することができます。

 なお、この中には、1993年に放映され反響を呼んだ番組「NHKスペシャル ドキュメント太平洋戦争(全6集)」もアップされています(DVDも2008年に発売されています。ただし、約2万円と高価で手が出にくいものですから、このホームページの存在はありがたいものです。LANケーブルが教室に配線されていれば、プロジェクターで映写して子どもたちと視聴することも可能です)。

 また、ここ下伊那地域が、戦時中「満蒙開拓青少年義勇軍」を全国一送り出したという苦い事実の一端を知るために、「ハイビジョン特集 満蒙開拓青少年義勇軍 ~少年と教師 それぞれの戦争~」(2010年放映)は、ぜひ見ておきたい番組です。この番組の中で、かつて下伊那地域のある山間地校に勤務していた元教師が、涙ながらに教え子を大陸に送り、結果的に彼を死に至らしめたことへの悔恨の情を述べる場面があります。「教え子を戦場に送るな」の言葉の重みを、ひしひしと感ずるワンシーンとして、忘れ難いものがあります。

※同番組の中で引用された元教師、元義勇軍隊員の方々の証言(17人分)が、ここで視聴できます。番組とあわせて、ぜひご覧ください。

 なお、下伊那地域では、先に信毎賞を受賞した「満蒙開拓を語りつぐ会」による大変貴重な証言集『下伊那の中の満洲』(第9集まで発刊。各学校に同会より寄贈されています。各校図書館あるいは職員研修図書の中にあるはずです)や、飯田市歴史研究所編『改訂版 満州移民 飯田下伊那からのメッセージ』(現代史料出版)といった優れた出版物が、地域の歴史研究者たちによって数多く生み出されています、

 また、中国残留孤児の日本への帰国運動を推進した山本慈昭氏の生まれ故郷である阿智村には、下伊那地域が背負ったこの辛い歴史を後世に伝えるため「満蒙開拓平和記念館」が建設されることになりました(8月中に着工予定。山本慈昭氏による中国残留孤児の日本への帰国運動については、2001年NHK放映「プロジェクトX挑戦者たち 大地の子、日本へ  中国残留孤児・35年目の再会劇」として放映されました)。

 この夏休み、ぜひこのホームページにアクセスしていただき、膨大な(といっても、無数にあった・ある戦争体験の一部にすぎません)「証言」や生の史料にふれることで、戦争と平和について考えるための手がかりを得てみませんか?

※満蒙開拓を語りつぐ会については、朝日新聞デジタルに報道(7月27日)がありました。

※中日新聞(7月31日)南信版によれば、泰阜村が満蒙開拓平和記念館事業準備会に200万円の寄付を行なったとのことです(自治体単位では初めて)。