県教組独自要求提出交渉が行われました。

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 20年度県教組独自要求提出交渉が18日の13:30から長野県庁で行われました。参加者は県教委から教育次長、義務教育課長、教学指導課長他、県教組からは執行部一同と各支部の委員長・書記長が参加しました
 下伊那支部からは委員長が、へき地級地指定の問題に関わって、14日に行われた泰阜地区での山間地訪問の現地調査や懇談の様子を、拡大写真や動画を使って説明しながら以下のように発言しました。
 「下伊那支部の大池です。へき地級地指定見直しに関わっての発言をお願いします。5月の春闘要求回答交渉では、昨年度の県教組独自交渉の口頭メモ確認にある「へき地級地の指定見直しにあたっては、へき地勤務者の勤務状況・生活実態を踏まえ、現地の把握に努める。」の具体として、前回のように県教委の方に直接下伊那に来ていただき、現状把握に努めていただくことをお願いして、「前向きに考えていきたい」という回答をいただきました。
 私たち下伊那支部でもへき地学校の実態を把握するために、毎年2回の山間地訪問を30年近く毎年行ってきております。今年の山間地訪問を先日14日に泰阜中学校を会場に行いました。泰阜中学校の最寄り駅はJR飯田線の田本駅です。この田本駅までの距離が、へき地級地基準の基準点の項目にある「駅または停留所までの距離」「病院までの距離」「高等学校までの距離」「郵便局までの距離」「市の中心地までの距離」などほとんどの項目で算定の基礎となってきます。
 あちらをご覧下さい。JR田本駅と泰阜中学校の間の距離をインターネットの検索や地図上で測ってみると、約1.1kmという結果でした。そこで、実際に現地で確かめるために「回転距離計」を持参して、執行委員の先生に歩いてもらいました。その様子をお見せします。
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 如何でしょうか?地図の上ではただの1.1kmですが、まさに百聞は一見にしかず、自動車はおろか自転車も通行不可能で、上も下も断崖絶壁、いつ落石があっても何の不思議もなく、一歩足を踏み外せばはるか崖下まで転落してしまうような坂道、急勾配かつ狭あいという言葉以上に危険な道が延々900mも続いていることがわかりました。また学校正門からJR田本駅までの正確な距離は1590mであることもわかりました。
 もし1.1kmという机上の計算の数値のままですと、先に挙げた5つの項目はいずれも加点対象になりません。ところが急勾配かつ狭あいの場合は、その距離を2倍するという、施行規則の距離補正を当てはめると、実測値の1.6kmに900mがプラスされてこの部分の距離は2.5kmとなります。そうなると先ほどの5つの項目で計10点の加点となります。きちんと現場を把握するのと、しないのとではこれほど大きな違いがある一例として理解していただき、級地指定にあたっては各学校・単組との意見交換を行うなど現地把握のための調査を最大限行うことを各地教委に要請すると共に、県教委の皆さん自らがへき地の現場を訪れる姿勢を明確にしていただきたいと思います。
 昨年度から今年度にかけて、へき地学校がある11の自治体の議会全てで「へき地級地維持・改善」を求める請願を可決していただき、意見書を文部科学省、長野県教育委員会などに送付していただきました。また、去る10日のへき地教育振興協議会の支部総会では、下伊那の一番奥にありながら現在は級地指定を受けておらず、今度の見直しではへき地級地指定を是非ともと希望する天龍村の教育長さんから「下伊那全体がスクラムを組んで、級地の維持・改善が図られるようにしていきたい」という発言がありました。へき地級地の維持・改善は私たち県教組だけでなく、教育委員会、地域の方々など教育に携わる多くの皆さんの共通の願いであることを是非ご理解いただき、県教委としても最大限力を尽くしていただきたいと思います。」
 発言が終わると会場には力強い拍手が起こり、改めてこの課題が県教組全体の課題であることが再認識されました。これに対して義務教育課長からは「へき地手当が全国的に見て極めて低いという認識は持っている。また今年度のへき地級地指定に当たっては、今までと同じように必要に応じて現地視察を行っていく」という発言がありました。今回は要求書の提出交渉ですので、要求についての説明や補足が中心でした。次回の回答交渉とそして最後の確定交渉に向けて、さらにへき地の実態を強く訴えていきたいと思いますので、皆さんのご協力をお願いします。