小泉純一郎総理大臣 殿
 
イラクより自衛隊即時撤退を求める要請書
 
 自衛隊が派遣されているイラクにおいて、10月31日バグダッド中心部で日本人とみられる男性の遺体が発見され、政府は同日午前、福岡県直方市出身の香田証生さん(24)と確認しました。
 ヨルダン人のイスラム過激派ザルカウィ氏が率いる「イラク・アルカイダ機構」を名乗る犯人グループは、27日未明インターネットサイトを通じて、香田さんの拘束を発表し、「48時間以内に自衛隊がイラクから撤退しなければ、香田さんを殺害する」としていました。
 テロは卑劣な行為であり、いかなるテロも絶対に許されるものではありません。殺害された香田証生さんのご家族のご心痛は察するに余りあります。長野県教職員組合下伊那支部は、犯人グループにテロを繰り返さず直ちに自首することを求めています。
 日本国政府の町村外相は会見で「無辜の民間人の命を奪う卑劣極まりない行為を断じて許すことはできない」と語っています。さらに、「今回のテロは卑劣きわまりない行為であり、強い憤りを覚える。断じて許すことができない」としたうえで、「テロに屈する形で自衛隊を引き揚げることはしない」と述べています。小泉純一郎首相も「テロに屈することはできない」と、犯人側の要求に応じない方針を打ち出していました。
 イラクでの日本人人質事件で犠牲者が出たのは初めてですが、イラク戦争後、イラク国内で殺害された日本人は奥克彦大使らを含めて5人にもなっています。
 しかしながら、このような事態に至った大きな責任は日本政府が有しており、そのことを踏まえ、政府は同様の事件が起こらないよう未然に防ぐ努力をしなくてはなりません。
 私達長野県教職員組合下伊那支部は、創立以来一貫して、国際平和を希求し平和教育を推し進めてきました。さらに、戦争状態にあるイラクへの自衛隊派遣を中止するよう政府に求めてきました。報道によるとサマ−ワの陸上自衛隊の宿営地に砲弾が撃ちこまれる事件も連続しているようです。現在のイラクは、極めて憂慮すべき事態に陥っています。
 長野県教職員組合下伊那支部は、小泉首相が、イラクにおける現実の事態を見すえ、自らの責任を痛感するとともに、人命を最優先した対応をとることを強く求めます。
 私たちは、「教え子を再び戦場に送らない」と決意をした教職員組合として、下記の事項を強く求めるものです。
 
 
1.イラク国内の自衛隊の即時撤退をすること。
 
 
                    2004年11月2日
                    長野県教職員組合下伊那支部 執行委員会